精密医療電脳書

分子標的薬 コンパニオン診断 リキッドバイオプシー 肺がん 乳がん ウイルス

リキッドバイオプシーによる早期診断の可能性: PSAスクリーニングとの感度比較

リキッドバイオプシーによる早期診断については大規模な研究はまだ少ないが、現在得られるデータからでもある程度有用性を推測できる。検出感度を既存の代表的な血液マーカーである PSAと比較したが、PSAの感度に及ばなかった。

銘酒誕生物語

全国各地の地酒を作る蔵元の中で、独自の方法で銘酒を造る蔵元、特に若い蔵元を紹介する21回のシリーズ。スペシャルは現在の日本酒製造のトレンドを創始した高木酒造の15代目蔵元の紹介である。

乳癌内分泌療法:抗エストロゲン薬、LH-RHアゴニスト、アロマターゼ阻害剤

ホルモン受容体陽性乳癌はエストロゲン依存して進行する。そのためにエストロゲンの働きを障害する内分泌療法を行う。治療薬には抗エストロゲン薬、LH-RHアゴニスト製剤、アロマターゼ阻害剤がある。閉経前後で治療法が異なる。

非重複統合リード塩基配列決定システム:non-overlapping integrated read sequencing system (NOIR-SS)

血中腫瘍DNAの塩基配列決定のために作った技術で、複数の遺伝子を同時解析可能である。特長:1)アダプタープライマーと一つの遺伝子特異的プライマーでPCR増幅する(anchored PCR);2)分子バーコード内のエラー処理。

肺癌遺伝子検査に関する基本的な見解

肺癌遺伝子検査パネルとリキッドバイオプシーに関する現在の見解を述べる。

イギリス紅茶とチョコレート菓子

NHK が研究室に取材に来たとき、私の机の上にはマシュマロが置いてあった。スタッフの人に「これ置いておいて大丈夫ですか?」と尋ねたところ、「大丈夫です」という答えであった。てっきり編集のときにカットしてくれるのか、と思いきや、実際に放映された…

分子バーコード技術:バーコードに入ったエラーの処理

分子バーコード技術は次世代シークエンサーのエラーを激減させる決定的な技術であるが、バーコード内にもエラーが入る、という原理的な問題を抱えている。解決法には限定数のバーコード・セットを作成する方法と3種類の塩基でバーコードを作る方法がある。

現在の将棋:人の脳によるAIのエミュレーション

数年前電王戦で棋士が将棋ソフト(以降将棋AI)と対決して圧倒されたのち、以降AIとの対決は行わない、ということになった。AIのほうが人の頭脳よりも強いのは明らかになったため、直接対決の意義はなくなった、というのが理由である。その後将棋界はどのよ…

乳癌の精密医療:薬物療法のアルゴリズム

乳癌も肺癌とともに精密医療が日常診療に定着している。治療薬選択のアルゴリズムの中心はホルモン受容体の有無とHER2過剰発現だが、他に遺伝子発現による悪性度診断、BRCA1/2変異検出による遺伝素因検査がある。

Violet Evergarden

マイナンバーカード更新の帰りに映画館で見てきた。強い感動を与えるアニメーション映画。 violet-evergarden.jp 第一次世界大戦頃のヨーロッパに似た仮想世界で、主人公の置かれた環境も極端。また原作者が若い人のようで、恋人との関係や親子関係の描き方…

リキッドバイオプシーによるT790M測定のタイミング:EGFR リキッドによる EGFR-TKI 治療患者の ctDNA 動態解析(続き)

初期のオシメルチニブの適応である第1及び第2世代EGFR-TKI治療後T790M陽性非小細胞肺癌患者では、T790M変異検査が重要であった。T790Mをリキッドバイオプシーで検査する場合、最も成功率が高いタイミングはPD後約3ヶ月であった。

血管新生阻害薬:抗VEGF抗体ベバシズマブ(アバスチン)等

VEGF/VEGFR阻害剤は腫瘍の血管新生を妨害する。代表的な薬剤がベバシズマブ(アバスチン)で転移性大腸癌に化学療法と併用する。他にアフリベルセプト、ラムシルマブ、レゴラフェニブ等がある。眼科領域では滲出型加齢黄斑変性症に用いる。

EXO

[一般的注意] 映画の結末に関する内容が含まれているので、鑑賞予定の人は注意すること。 [遺伝子解析技術に興味のある人への注意] EXOは exonuclease とは全く関係はない。 EXO(原題:Alien Invasion: S.U.M.1)は2017年のドイツの映画。アマゾンプラ…

RET阻害剤:セルペルカチニブ、プラルセチニブ

2020年FDAはRET阻害剤selpercatinibとpralsetinibを承認した。対象疾患はRET融合遺伝子陽性非小細胞肺癌である。Selpercatinibは肺癌に加えRET遺伝子異常を持つ甲状腺癌も適応である。

次世代シーケンサーの読み取り精度向上:DNA損傷対策、耐熱性DNAポリメラーぜ、分子バーコード技術

次世代シーケンサーの読み取り精度向上に関する3つのトピックス、DNA損傷:酸化(8-オキソグアニン)と脱アミノ化、耐熱性DNAポリメラーゼ、分子バーコード技術について解説した。

EGFRチロシンキナーゼ阻害剤の術後補助療法への応用:オシメルチニブで無病生存期間が顕著に延長する

オシメルチニブによるEGFR変異陽性非小細胞肺癌完全切除後の補助療法で、顕著な無病生存の延長が認められた。これを受けてFDAは同治療法を画期的治療 breakthrough therapy に指定した。

新型コロナウイルス:ワクチンの種類、臨床試験と承認審査の現状

ワクチンには3種類のアプローチがある:ウイルスの接種;ウイルスの部品の接種;ウイルスの部品(スパイク蛋白)を人体の中でつくる。最終臨床試験と規制の現状についてもまとめた。

リキッドバイオプシーの最新動向:グレイル、ガーダント・ヘルス、ファウンデーション・メディシン

グレイル社によるメチレーションを利用した早期診断法;ガーダント・ヘルス社のGuardant 360 CDxとファウンデーション・メディシン社のFoundationOne Liquid CDxの米国承認。この二つのトピックスを分析する。

HER2 変異陽性乳癌治療薬:トラスズマブ、ラパチニブ、T-DM1

HER2陽性乳癌は、HER2遺伝子の増幅によりHER2蛋白質の発現が上昇している乳癌である。一次療法はトラスツズマブと化学療法との併用で、二次療法以降は抗体薬物複合体 T-DM1である。他の薬剤にはペルツズマブ 、ラパチニブ、DS-8201aがある。

新型コロナウイルス禍によりがんの発見と手術が遅れるため、がんによる死亡が増加する

新型コロナウイルスのために一般医療が妨げられている。大きな原因は2つあって、ひとつは人々が感染を恐れて医療機関を受診しなくなること。もう一つは新型コロナウイルスに対応するために、医療機関の負担が増大し、一般の医療があとまわしになっているこ…

HER2変異陽性肺癌 治療薬開発:抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate, ADC)と受容体チロシンキナーゼ阻害剤

HER2を標的にした治療は乳癌と胃癌では確立しているが、肺癌では確立した治療薬はない。抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate, ADC)とチロシンキナーゼ阻害剤について初期臨床試験が行われている。

CDK4/6 阻害剤:パルボシクリブ、アベマシクリブ

CDK4/6阻害剤、パルボシクリブ(イブランス)とアベマシクリブ(ベージニオ)は、CDK4/6とサイクリンDの複合体を特異的に阻害し、細胞周期の進行を停止する。ホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳癌に投与するが、抗ホルモン療法と併用する。

夏の子守歌(フーゴー・ヴォルフ作曲、ロベルト・ライニック作詞) ~ フルトヴェングラーの伴奏

「ため息が出るほど美しい」と称される曲がある。私にとっては数曲あって、その一つがフーゴー・ヴォルフ Hugo Wolf(1860−1903)の「夏の子守歌」Wiegenlied im Sommer である。iPod Touchに音楽を入れて聴いているが、入れ替えずにずっと入れたま…

リキッドバイオプシーによる肺癌病態モニタリング:EGFR リキッドによる EGFR-TKI 治療患者の ctDNA 動態解析

血中腫瘍DNA(ctDNA)量は腫瘍負荷と相関することが知られており、EGFR-TKI治療患者の病態の正確な把握に利用できる可能性がある。2010年代前半に行った観察研究では治療薬の効果判定には有用だが、耐性獲得予測は難しい、という結果だった。

インフルエンザウイルス 〜 構造とワクチン、生活環と治療薬の関係

インフルエンザAウイルスのワクチンにはウイルス表面のスパイク蛋白質、すなわちヘマグルチニンとノイラミニダーゼ、のサブタイプが重要である。抗インフルエンザ薬はウイルス生活環の特定箇所を障害する。タミフルはノイラミニダーゼ阻害剤である。

アイキャッチ画像 〜 エヴァンゲリオン風

ドメインを precision-medicine.jp に変更したので、ブログ専用アイキャッチ画像も自前のものを用意しよう、と考えた。私のブログ記事では多くの画像を使っているが、ネット上の学術雑誌から取ってきたものが多い。学術雑誌は従来図書館や個人が購入して、そ…

EGFRリキッド 〜 国産初のリキッドバイオプシー・システム

EGFRリキッドは、国産初のリキッドバイオプシー検査システムで、肺がん患者のための治療薬 EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)の適応患者決定に用いる。2020年7月31日に承認された。EGFRリキッド概要と詳細解説ページヘのリンクを掲載する。

長い2020年上半期 〜 新型コロナウイルス所感

NSF(National Science Foundation)の 研究者 Philip Gable らは、パンデミックの最中のアメリカ国民の感情、認識、行動を記録するスマホのアプリを開発し、人々の時間感覚がどのようにかわったのか、そしてその原因を調査した(「新型コロナウイルスによる…

PI3K/AKT/mTORC1情報伝達系阻害剤(乳癌):エベロリムス vs alpelisib

アロマターゼ阻害剤治療歴のあるエストロゲン受容体陽性HER2陰性転移性乳癌には、PI3K/AKT/mTORC1情報伝達系阻害剤、すなわちmTORC1阻害剤エベロリムスeverolimus あるいはPIK3CA阻害剤 alpelisibが選択できる。

EGFRリキッドの臨床性能

EGFRリキッドの臨床性能(臨床検体を用いた検査性能)は、血漿検体と生検検体の相関性試験と、肺癌組織を用いたPNA-LNA PCRクランプ法との相関性試験で評価を行った。