精密医療電脳書

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がん 治療薬

乳癌内分泌療法:抗エストロゲン薬、LH-RHアゴニスト、アロマターゼ阻害剤

ホルモン受容体陽性乳癌はエストロゲン依存して進行する。そのためにエストロゲンの働きを障害する内分泌療法を行う。治療薬には抗エストロゲン薬、LH-RHアゴニスト製剤、アロマターゼ阻害剤がある。閉経前後で治療法が異なる。

血管新生阻害薬:抗VEGF抗体ベバシズマブ(アバスチン)等

VEGF/VEGFR阻害剤は腫瘍の血管新生を妨害する。代表的な薬剤がベバシズマブ(アバスチン)で転移性大腸癌に化学療法と併用する。他にアフリベルセプト、ラムシルマブ、レゴラフェニブ等がある。眼科領域では滲出型加齢黄斑変性症に用いる。

RET阻害剤:セルペルカチニブ、プラルセチニブ

2020年FDAはRET阻害剤selpercatinibとpralsetinibを承認した。対象疾患はRET融合遺伝子陽性非小細胞肺癌である。Selpercatinibは肺癌に加えRET遺伝子異常を持つ甲状腺癌も適応である。

EGFRチロシンキナーゼ阻害剤の術後補助療法への応用:オシメルチニブで無病生存期間が顕著に延長する

オシメルチニブによるEGFR変異陽性非小細胞肺癌完全切除後の補助療法で、顕著な無病生存の延長が認められた。これを受けてFDAは同治療法を画期的治療 breakthrough therapy に指定した。

HER2 変異陽性乳癌治療薬:トラスズマブ、ラパチニブ、T-DM1

HER2陽性乳癌は、HER2遺伝子の増幅によりHER2蛋白質の発現が上昇している乳癌である。一次療法はトラスツズマブと化学療法との併用で、二次療法以降は抗体薬物複合体 T-DM1である。他の薬剤にはペルツズマブ 、ラパチニブ、DS-8201aがある。

HER2変異陽性肺癌 治療薬開発:抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate, ADC)と受容体チロシンキナーゼ阻害剤

HER2を標的にした治療は乳癌と胃癌では確立しているが、肺癌では確立した治療薬はない。抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate, ADC)とチロシンキナーゼ阻害剤について初期臨床試験が行われている。

CDK4/6 阻害剤:パルボシクリブ、アベマシクリブ

CDK4/6阻害剤、パルボシクリブ(イブランス)とアベマシクリブ(ベージニオ)は、CDK4/6とサイクリンDの複合体を特異的に阻害し、細胞周期の進行を停止する。ホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳癌に投与するが、抗ホルモン療法と併用する。

PI3K/AKT/mTORC1情報伝達系阻害剤(乳癌):エベロリムス vs alpelisib

アロマターゼ阻害剤治療歴のあるエストロゲン受容体陽性HER2陰性転移性乳癌には、PI3K/AKT/mTORC1情報伝達系阻害剤、すなわちmTORC1阻害剤エベロリムスeverolimus あるいはPIK3CA阻害剤 alpelisibが選択できる。

EGFR exon 20 insertion エクソン20挿入 治療薬開発:amivantamab、オシメルチニブ、ポジオチニブ、TAK-788

エクソン20挿入はEGFR変異中約6%である。第一世代及び第二世代EGFR-TKIは効果がないが、新しい抗体薬 amivantamab、オシメルチニブ、ポジオチニブ poziotinib、TAK-788 の可能性が検討されている。

BRAF阻害剤:ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ

BRAF阻害剤ベムラフェニブ(ゼルボラフ)、ダブラフェニブ(タフィンラー)、エンコラフェニブ(ビラフトビ)はV600E変異陽性腫瘍に用いるが、MEK阻害剤(メラノーマ、非小細胞肺癌)あるいは抗EGFR抗体(大腸癌)を併用する。

PARP阻害剤 : オラパリブ等 〜 DNA損傷修復機構を阻害する分子標的薬

PARP阻害剤は、DNA損傷修復機構を阻害する分子標的薬である。国内ではオラパリブ(リンパーザ)のみだが、米国では他にルカパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブが承認されており、卵巣癌、乳癌、前立腺癌に対して適応がある。

MET阻害剤:テポチニブ、カプマチニブ

2020年になってMET阻害剤が初めて2020年になってMET阻害剤テポチニブ(商品名:テプミトコ)とカプマチニブ(タブレクタ)が承認された。いずれもMETエクソン14スキッピング陽性の進行性非小細胞肺癌が対象疾患である。対象患者の頻度は3−4%と…