2022年11月16日、私達が研究開発してきた肺がんコンパクトパネルの承認が厚生労働省から降りた。
会社名 : 株式会社DNAチップ研究所
販売名 : 肺がん コンパクトパネルⓇ Dxマルチコンパニオン診断システム
一般的名称 : 体細胞遺伝子変異解析プログラム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)
承認番号 : 30400BZX00263000
対象国 : 日本
対象検体 : 非小細胞肺癌患者から手術又は生検により採取された組織
(FFPE組織、未固定組織又は細胞診)
対象遺伝子 : EGFR、ALK、ROS1、MET
論文の改訂版をmedRxivにアップロードした。
Analytical performance of a highly sensitive system to detect gene variants using next-generation sequencing for lung cancer companion diagnostics
Kikuya Kato, Jiro Okami, Harumi Nakamura, Keiichiro Honma, Yoshiharu Sato, Seiji Nakamura, Yoji Kukita, Shuichi Nakatsuka, Masahiko Higashiyama
DOI: https://doi.org/10.1101/2021.10.13.21264976
以前はEGFR, ALKの2遺伝子に対応した薬剤しかなかったが、現在は7遺伝子、さらに1−2個の遺伝子対応の薬剤が開発されている。これまで一つ一つ個別に行っていた検査を一括して行う遺伝子検査、いわゆるパネル検査が登場した。
ところが現在の米国製パネル検査の評判は、肺癌専門医の間で、すこぶる悪い。感度が悪いため、がん組織中のがん細胞含有率が低いと検査できないのだ。がん組織はがん細胞だけではなく、いろいろな細胞が混ざっており、患者ごとにその比率は異なる。がん細胞の比率が低い場合はパネル検査ができず、EGFRの検査だけを施行することになってしまう。つまりROS1やMETなど他の遺伝子異常に対応した薬剤が効く患者を見落とすことになる。国立がん研究センター中央病院のようにパネル検査が9割の患者でできる施設もあるが、大多数の施設にとっては難しく、大雑把にみて半数の患者ではパネル検査ができていない。この問題を解決するために開発したのが肺がんコンパクトパネルである。
肺がんコンパクトパネルの特徴をまとめると、
1.ほぼすべての患者で施行可能である。
2.腫瘍細胞含有率の正確な測定は不要(腫瘍細胞の確認作業は必要)なので、病理医の負担が減る。
3.検体保存容器(GM管)も並行して開発したので、コンパクトパネルとの併用で内科医の検体採取作業が著しく簡便化される。
以前書いた関連記事は以下のとおり。
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