非小細胞肺癌は肺癌の9割以上を占めるが、遺伝子異常(ドライバー変異)のある肺癌とない肺癌に分類される。遺伝子検査の結果陽性の場合(ドライバー変異のある肺癌)には分子標的薬が使われるが、陰性の場合、すなわちドライバー変異のない肺癌関しては、免疫療法剤(免疫チェックポイント阻害剤)の臨床試験が多数を行われてきている。日進月歩であり、ASCO - Ontario Health (Cancer Care Ontario) による最新の診療ガイドラインがJCOに掲載された。RCT (randomized control trial) に基づいたガイドラインである。
Singh, N., Temin, S., Baker Jr, S. et al. Therapy for Stage IV Non–Small-Cell Lung Cancer Without Driver Alterations: ASCO Living Guideline. 40, no. 28 (October 01, 2022) 3323-3343. DOI: 10.1200/JCO.22.00825
ガイドラインの骨子を表にまとめた。
ほとんどが免疫チェックポイント阻害剤中心の処方で、適応はPD-L1の発現状態と扁平上皮癌かどうか、という2つの要素で分類される。PD-L1高発現が最も治療反応性がよく、つぎがPD-L1低発現あるいは陰性の非扁平上皮癌、もっとも効果が低いのがPD-L1低発現あるいは陰性の扁平上皮癌となる。
多数の免疫チェックポイント阻害剤が開発されてきたが、現時点ではメルクのペンブロリズマブ(PD-1阻害剤)とアストラゼネカのアテゾリズマブ(PD-L1阻害剤)の成績がよいようだ。ニボルマブはイピリムマブとの併用でやっとこれらに対抗できるようにみえる。