精密医療電脳書

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非小細胞肺癌術後補助療法での免疫チェックポイント阻害剤アテゾリズマブの効果

肺癌の術後補助療法に分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤が使用可能かどうかは重要な臨床上の問題だが、最近になってやっと答えが出つつある。FDAは2020年12月18日にオシメルチニブosimertinibを、2021年10月にアテゾリズマブatezolizumabを承認した。EGFRチロシンキナーゼ阻害剤については以前まとめた(EGFRチロシンキナーゼ阻害剤の術後補助療法への応用:オシメルチニブで無病生存期間が顕著に延長する - 精密医療電脳書)。アテゾリズマブの術後補助療法は欧州で承認間近である。

 

IMPOWER010第III相試験

対象はを1−4サイクルの化学療法(cisplatin plus pemetrexed, gemcitabine, docetaxelまたはvinorelbine)治療後の1280名の患者である。その中で1005名をアテゾリズマブ1200mg/21日とbest supportive careに1:1で無作為割付した。

主要評価項目は、無病生存期間で、対象患者集団は、1)PDL-1発現腫瘍細胞1%以上のII-IIIA、2)II−IIIAの無作為割付したすべての患者、3)IB-IIIAのintention-to -treat(ITT)患者集団、である。

副次評価項目は1)ITT患者集団での全生存期間、2)PDL-1発現腫瘍細胞50%以上のII-IIIAでの無病生存期間、3)3年及び5年の無病生存率、である。

患者は、IIIA 41.1% 、IIB 17.3% 、IIA 29.4%、IB 12.2%であった。バイオマーカーについては、EGFR変異のない患者52.4%ALK変異のない患者57.1%、PDL-1陽性1%以上の患者 54.6%であった。

無病生存期間に関する結果を下表に示した。中央値が得られていないケースが多いためハザード比で比較した。常にBSCより成績が良いが、PDL-1が50%の集団で特に効果が顕著である。またEGFRALK)変異の有無は効果に影響はない。

アテゾリズマブ補助療法の効果。HR、BSCに対する無病生存期間のハザード比;n、患者数。

全生存期間も観察期間が足りていないが、PDL-1 50%以上でハザード比0.36(95%信頼区間 0.17−0.75)で有望なデータが得られている。この集団の安全性プロファイルは全患者集団のものと大きな違いはない。

 

文献

1. Felip, E., Altorki, N.K., Zhou, C., et al. Atezolizumab (atezo) vs best supportive care (BSC) in stage II-IIIA NSCLC with high PD-L1 expression: sub-analysis from a pivotal phase III IMpower010 study. Ann Oncol. 2022, 33(suppl 2) S71-S78. DOI:10.1016/annonc/annonc857
2. Wakelee, H.A., Altorki, N.K., Zhou, C. et al. IMpower010: primary results of a phase III global study of atezolizumab versus best supportive care after adjuvant chemotherapy in resected stage IB-IIIA non-small cell lung cancer (NSCLC). J Clin Oncol. 2021, 39(suppl 15) 8500. DOI:10.1200/JCO.2021.39.15_suppl.8500