精密医療電脳書

分子標的薬 コンパニオン診断 リキッドバイオプシー 肺がん 乳がん ウイルス

免疫チェックポイント阻害剤と免疫系分子標的薬の併用:デュルバルマブ+オレクルマブ/モナリズマブ

免疫チェックポイント阻害剤は単剤あるいは化学療法との併用が一般的だが、他の免疫系分子標的薬との併用についての例はあまりない。COAST第II相試験は、デュルバルマブdurvalumabとオレクルマブoleclumabあるいはモナリズマブmonalizumab併用とデュルバルマブ単剤の比較で、併用療法の優位が示唆された。

 

オレクルマブとモナリズマブ

オレクルマブは抗CD73抗体(IgG1lambda mAb)である。CD73は、AMPを細胞外アデノシンの転換に関与する酵素で、腫瘍微小環境で過剰発現、がん細胞に対する免疫を抑制する。モナリズマブは、抗NKG2A抗体(ヒト化IgG4 mAb、first-in-class)である。HLA-EはNKG2Aのリガンドで、いろいろな腫瘍に浸潤する細胞傷害性T細胞とNK細胞で過剰発現し、NKG2Aと結合するとサイトカインの分泌とCD8陽性T細胞とNK細胞の細胞傷害性活性を阻害する。モナリズマブはこの結合を阻害することにより細胞性免疫を活性化する。なお、デュルバルマブは抗PD-L1抗体である。

 

COAST第II相試験

対象は切除不能III期非小細胞肺癌で放射線化学療法後、病勢の憎悪が認められない患者である。オープンラベルの国際共同治験で、患者数は189名(2019年1月から2020年7月)である。デュルバルマブ単剤、デュルバルマブ+オレクルマブとデュルバルマブ+モナリズマブの3群に1:1:1に無作為割付を行った。治療は最長12ヶ月まで継続、主要評価項目は奏効率である。

中間解析は2021年5月で、観察期間中央値は11.5ヶ月(0.4−23.4ヶ月)である。結果は下表の通りで、オレクルマブとモナリズマブ、どちらの併用群も単剤より成績がよい。

COAST第II相試験の結果。括弧内は95%信頼区間。

グレード3以上の副作用は、デュルバルマブ単剤、39.4%;デュルバルマブ+オレクルマブ、40.7%;デュルバルマブ+モナリズマブ、27.9%。副作用による投薬中止は、デュルバルマブ単剤、16.7%;デュルバルマブ+オレクルマブ、15.3%;デュルバルマブ+モナリズマブ、14.8%。投薬中止の原因は肺炎が5−6%で最も多かった。併用群と単剤群で違いは認められなかった。

限定された対象患者集団だが、併用の優位が示されたので、他の患者群にも応用可能かどうか他の試験が待たれる。

 

文献

Herbst, R.S., Majem, M., Barlesi, F. et al. COAST: An Open-Label, Phase II, Multidrug Platform Study of Durvalumab Alone or in Combination With Oleclumab or Monalizumab in Patients With Unresectable, Stage III Non–Small-Cell Lung Cancer. J Clin Oncol. 2022, April 22. DOI: 10.1200/JCO.22.00227