精密医療電脳書

分子標的薬 コンパニオン診断 肺がん ウイルス 人類観察

米国における肺癌遺伝子検査の現状

肺癌分子標的薬の種類は徐々に増加しており、多遺伝子同時検査が必須になりつつある。ゲノム検査が進んでいる米国での現状についての観察研究では、5つのバイオマーカー全部を検査した患者比率は46%、NGSテストは44%であった。

MYLUNG (Molecularly Informed Lung Cancer Treatment in a Community Cancer Network) consortiumの観察研究で、対象は2018年4月1日から2020年3月30日までの一次療法を始める非小細胞肺癌患者、対象遺伝子はEGFR, ALK, ROS1, BRAF と PD-L1蛋白である。

患者数は3474人で、年齢は23−90歳で中央値69、女性51%,腺癌74%、ECOG performance status 0/1が76%であった。一つ以上の検査を受けた患者は90%、5つとも受けた患者は46%であった。2018年と2020年の検査比率は以下の通りである:EGFR, 71%, 71%; ALK, 71%, 70%; ROS1, 69%, 67%; BRAF, 51%, 59%; PDL-1, 42%, 49%。 NGSパネル検査の頻度は2018年の33%から2020年の40%に上昇している。検査日(検体を採取した日)から一次療法開始日までの期間は中央値35日(四分位数範囲22,55)、検査結果を受け取るまでの期間は、マーカーによって異なるが14日(7,26)から21日(12,36)であった。また約1000箇所の検査機関のTAT(検査をオーダーした日から検査結果を受け取るまでの期間)の中央値は、10日(6,17)から15日(10,22)であった。

 

文献

Robert, M.J., Nwokeji,, E.D., Espirito, J.L. et al. Biomarker tissue journey among patients (pts) with untreated metastatic non-small cell lung cancer (mNSCLC) in the U.S. Oncology Network community practices. J Clin Oncol 39, 2021 (suppl 15; abstr 9004). DOI: 10.1200/JCO.2021.39.15_suppl.9004