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最後にして最初の人類

ヨハン・ヨハンソンJóhann Jóhannssonの映画。原作はオラフ・ステープルドンWilliam Olaf Stapledonで、その抜粋をティルダ・スウィントンTilda Swintonが朗読し、ヨハンソンの映像と音楽が流れる作品である。映像にオーケストラの音楽をつけたシネマ・コンサート作品だったが、ヨハンソンの死後仲間が映画化した。20億年後の人類(進化していて形態は変化しており、大きな特徴は頭から長く伸びた天体観測用の眼である)が太陽系の滅亡に瀕しており、現在の人類にメッセージを送っている、という内容である。

synca.jp

ヨハン・ヨハンソン(1969−2018)は、アイスランドの作曲家で、TV、映画、演劇など色々なメディアへの楽曲を提供してきた。クラシック音楽の作曲家ではなく、アイスランド大学で文学を学んでいる。坂本龍一等の音楽家に高く評価されていた。

 

音楽はオーケストラと電子音で、映像のほとんどはスポメニックSpomenikである。スポメニックは旧ユーゴスラビアにある巨大建造物で、セルビア・クロアチア語やスロヴェニア語で「記念碑」という意味である。第二次世界大戦をはじめとする戦争を記念して建てられたもので、全域に点在している。映像はいろいろなスポメニックの映像がほとんどで、時々20億年後の人類から現在の人類へのメッセージを表す緑色の点光源が挟まれる。

 

この映画はオラフ・ステープルドンの描く20億年後の人類を如何にリアリティを持って表現するか、という試みである。ハリウッドのSFXを駆使した映像ではなく、現実に存在するスポメニックの映像を組み合わせることによってティルダ・スウィントンの朗読する20億年後の世界を表現している。もちろん朗読内容と映像との間には直接の関連性はないが、映像に加えて音楽の効果で、鑑賞者は20億年後の世界を現実のものとして感じることができる。

朗読の効果を上げるのに音楽をもちいることは、ラジオドラマ等で古くから使われてきたが、直接関係がない映像でリアリティをもたせた作品は、多分あると思うが、ちょっと思い浮かばない。

 ステープルドンのストーリー自体は、書かれた1930年という年代を考えると極めて斬新だが、現在の私達は多くの人類の終末を描いたSFを知っているので、とくに驚くところはない。しかしヨハンソンの映像と音楽が加わると、強い印象を受ける。

 

スポメニックの写真については、星野藍氏のポートフォリオサイトが良い。旧ユーゴスラビア(セルビア、ボスニア・ヘルチェゴビナ、クロアチア)のカテゴリーを参照。その他の廃墟の写真も興味深い。

21152.blog2.fc2.com

直接映画とは関係はないが、星野藍氏の紹介記事も面白い。

toyokeizai.net

Sougaku氏の旅行記も面白い。

https://www.compathy.net/users/sohgaku.hoh/logbooks

包括的なサイトとしては、スポメニック・データベースSpomenik Databaseがある。

www.spomenikdatabase.org