精密医療電脳書

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新型コロナウイルスに関するメモ(5) ~ 厚生労働省による副反応検討、平均寿命の短縮

2020年4月新型コロナウイルスで行動制限が始まった頃、奈良先端科学技術大学院大学から新しい講義を一コマ依頼された。その時急遽準備した講義が「ウイルス感染症の分子生物学」でAIDSウイルス、インフルエンザウイルス学を紹介したあと、新型コロナウイルスの現状について説明する、という内容だった。2021,22,23年に新型コロナウイルスについての説明をバージョンアップしてきたが、全体の構成は変えなかった。新型コロナウイルスのパンデミックが過去のものになりつつあるので、2024年度の講義はスタンスを変更、1980年以降のバイオサイエンスによるウイルス感染症対策の概説をテーマにすることにした。講義の準備のため新型コロナウイルスについても若干調査したが、本稿はそのメモである。現在重要な問題は、新型コロナウイルス後遺症と新型コロナウイルスワクチン副反応の問題である。

 

 

厚生労働省による副反応検討

第100回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和5年度第15回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会における資料で累積した副反応とワクチンによる死亡の認定件数である。

副反応の認定件数は6000件を、死亡認定は1200件を越えており、数値としては過去45年のすべてのワクチンの被害認定件数を越えている(【健康被害救済制度】新型コロナワクチン 過去45年間全てのワクチン被害認定数累計を超える~厚労省は「申請・認定件数の公表を控えるように」都道府県にメール~)。これらの数値を踏まえ、同部会は「現時点でワクチン接種によるベネフィットがリスクを上回ると考えられ、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない」と評価している。

 

ワクチン後遺症に関しては、京都大学名誉教授福島先生のように「最大の薬害」と言う意見もある。私の見解は、厚生労働省の部会の意見に近いが、「ベネフィットがリスクを上回る」は誤りである。現行のワクチンには評価に必要なデータがないためである。

 

平均寿命の短縮

新型コロナウイルス後遺症や新型コロナウイルスワクチン後遺症と関連して超過死亡の増加がX(旧ツイッター)でもトレンドになっている。超過死亡は「特定の母集団の死亡率(死亡者の数)が一時的に増加し、本来想定される死亡率(期待値)の取りうる値(信頼区間)を超過した割合」(ウィキペディア)であり、本来想定される死亡率が変われば超過死亡も変化する。たとえば、死亡数の増加が常態化すれば、本来想定される死亡率は増加するので、むしろ単純に平均寿命を調べた方が良い。

2022年、2023年平均寿命が短縮している。厚生労働省令和4年簡易生命表の概況より。

2020年から2年で男性は0.51年、女性は0.62年短縮している。道理で著名人の訃報が多いわけだ。なお、1995年と2011年の落ち込みはそれぞれ阪神・淡路大震災と東日本大震災に対応している。今回の落ち込みはこの2つの震災以上である。

 

原因について。重要なポイントは、このような事象の場合、原因を明らかにすることは科学的に不可能である点だ(統計学的に不可能)。原因は永遠にわからない、ということを前提に推論すると、新型コロナウイルス後遺症、新型コロナウイルスワクチン後遺症、行動制限による老人の老化の進行などが考えられる。