新型コロナウイルスが5類になってから、メディアの報道内容が大きく変化した。感染者数の報道はなくなり、従来のようなワクチン接種を推進する報道も激減した。それとともに各種の情報開示も進んでいる。重要なトピックスにワクチン接種後心筋炎とウイルス研究所流出説がある。
ワクチン接種後心筋炎
ワクチンの副作用としての心筋炎は、長らく行政、政治家、主流メディアには否定されていたが、現在では厚生労働省も公式にその存在を認めている。令和5年7月28日発出の厚生労働省の事務連絡において、医療関係者に次のような注意喚起があった。
1)被接種者またはその保護者に対し、ワクチン接種前に心筋炎・心膜炎及びそのほか予防接種後に起こり得る副反応に関する説明を十分に行うこと。
2)副反応疑い報告において、提供可能な情報について可能な限り詳細に報告すること。
学術研究でも情報開示の動きは顕著だ。ワクチン接種後心筋炎については査読付き専門誌にも結構論文が出ていたが、権威のある雑誌にはなかなか掲載されなかった。ところが最近慶応大学の論文がRadiologyという放射線学では多分最も権威のある雑誌の一つに掲載された。この論文の結論は衝撃的で、無症状であっても接種後半年間は心筋炎が発症している人が多数いる、ということだ(https://pubs.rsna.org/doi/full/10.1148/radiol.230743)。放射線標識したグルコース(18F-FDG)の取り込みをPET/CTで計測した研究だが、これまでの研究で18F-FDGの取り込みと心筋炎には相関があることがわかっている、この研究ではワクチン非接種群(303人)と接種群(700人)を比較したが、p<0.0001と極めて大きな有意差が出た。この感じだと、1割かそれ以上の人に心筋炎が発症しているように思える。
もう一つの研究は米国のマサチューセッツ総合病院(ハーバード大学の附属病院の一つ)の研究でワクチン接種後30日以内に死亡した患者の病理解剖所見である(https://www.nature.com/articles/s41541-023-00742-7)。ワクチンのRNAがどの程度残存しているか各臓器で調べた。心臓に関しては検出されなかった症例が9例に対し、検出された症例は3例であった。急性心筋梗塞の痕跡は、RNAが検出されなかった症例では6例、検出された症例は前例に認められた。 この研究では効率(25%)にRNAが残存している確実な証拠であり、先の慶応大学の研究と矛盾しない結果となっている。
ウイルス研究所流出説
1年ほど前までは陰謀論とされた人工ウイルス説も、(少なくとも研究者の間では)比較的普通に語られるようになった。以前に述べたが、新型コロナウイルスの原因ウイルスであるSARS-CoV2のオリジナル株には遺伝子操作で感染力を強化した痕跡があり、オミクロン株には自然発生とは考えにくい変異のパターンがあった。これらの現象は分子生物学の素養があれば、一瞬でわかることだが、表に出てくるウイルス学者の意見はずっと自然発生がだった。今年2月のウォールストリートジャーナルの記事がターニングポイントで、その後米国議会での報告があり、現在ウィスコンシン州ではウイルスの遺伝子操作による機能獲得実験を禁止する法案が提出されるに至っている。6月23日に米国諜報機関の調査結果が公表されたが、その内容は、
国家情報会議と4つの諜報機関:コロナは自然発生
エネルギー省・FBI:武漢研究所から流出
CIA・1つの諜報機関:結論保留
ほとんどの諜報機関が人工的に作られたウイルスではないと判断している
多くの諜報機関が研究所流出説ではないと判断している
全ての諜報機関が生物兵器(バイオウェポン)ではないと判断している
ということだ(https://twitter.com/debutanuki_yt/status/1702817301182255270)。まだ決着はついていないようだが、日本のウイルス学会でも自由に議論できる状態になっている。
自然発生か研究所流出かは、ウイルス研究にとって非常に重要だ。自然発生なら研究を促進すればよいが、研究所流出なら研究者側のモラルの問題もあり、厳格な規制が必要、という議論になる。