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ベートーヴェン弦楽四重奏曲第14番作品131:西洋音楽史上最高の名曲

ある意味最も興味を持っている楽曲である。

 

基礎情報

弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調 作品131。1825−26年作曲。1828年初演。ヨーゼフ・フォン・シュトゥッターハイム男爵に献呈。7つの楽章からなり連続して演奏される。
I. Adagio ma non troppo e molto espressivo
II. Allegro molto vivace
III. Allegro moderato – Adagio
IV. Andante ma non troppo e molto cantabile – Andante moderato e lusinghiero – Adagio – Allegretto – Adagio, ma non troppo e semplice – Allegretto
V. Presto
VI. Adagio quasi un poco andante
VII. Allegro

 

この曲に関する言葉、エピソード

ベートーヴェン本人「会心の作。新しい作曲法だ、神に感謝しないと。まだ創造力は衰えていない」

シューベルト、初演を聴いて「この作品の後で、私たちは何を書けるのだ?」

シューマン、弦楽四重奏曲第12番と第14番について{人間の芸術と創造で成し遂げられる極限」

ワーグナー、第一楽章について「器楽でできる最も深い悲しみの表現」

コメント:これはワーグナーらしいコメントだ。暗に人声を使えば(私なら)もっと深い悲しみを表現できる、という意味を含んでいる。

レオナード・バーンスタインは自身の録音には執着がなく、いわば撮りっぱなしだったが、ウィーンフィルと録音したこの曲のオーケストラ版は特別だった。自身の録音中最高と考え、妻に献呈している。

東京カルテットの最後の演奏会の演目はこの曲であった。

映画「25年目の弦楽四重奏」(原題 A late quartet)はこの曲をモティーフにしている。


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これだけ歴史上の大音楽家から絶賛されている曲はちょっと知らない。これらの評価から、最高の名曲ではなくても、最高の名曲の一つ、とは云えよう。

 

ところが

ところが私には、どこが良いのかさっぱりわからないのだ。シューマンが絶賛しているもう一つの曲、第12番は大好きな曲で、この曲についてはシューマンの言葉は納得できる。また前衛的な第15番も大好きな曲だ。しかし14番だけは何故名曲なのかさっぱり分からない。この曲を捉えるために、多くの弦楽四重奏団の録音を手に入れて聴いてきたが、どの演奏からも名曲の片鱗を捉えることができない。私の脳はモーツァルトには反応しないので、あまり聴かないが、素晴らしい音楽であることはわかる。ところが第14番は優れた楽曲とは思えないのだ。ネットで第4楽章変奏曲について「現世から隔絶した素晴らしい音楽」と述べている人がいたが、奇妙な音楽にしか聞こえない。同じ変奏曲でも弦楽四重奏曲第15番第3楽章やピアノ・ソナタ第30番第3楽章、第32番第2楽章なら、この感想は理解できるのだが。

かれこれ30年以上ずっと謎のままである。 


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聴いた演奏の中では、このブダペスト弦楽四重奏団の一回目がよかった。