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オペラを楽しむ新しい方法:正確にはオペラを学習する方法

内容が頭の中に入っているオペラの場合は問題ないが、そうでない場合は、音楽だけ聴いていてもなかなか楽しむことができない。歌詞がイタリア語かドイツ語で状況がよくわからないためだ。歌詞の内容はだいたいつまらないので、音楽を楽しむためには詳細は必要ない、あるいは有害だが、大体の状況は理解する必要がある。今更オペラだけのためにイタリア語とドイツ語を学習する気にはならないので、もっぱら歌詞の対訳を利用している。音楽のデータはハードディスク内のため、CDのブックレットは使わず、ネット上の対訳を使う。「オペラ対訳プロジェクト」という素晴らしいサイトがあり、主要なオペラの対訳は此処で見られる。しかしこのサイトに対訳がないオペラがある。困っているのは、リヒャルト・ストラウス Richard Strauss の「ナクソス島のアリアドネ Ariadne auf Naxos」と「ダフネ Daphne」だ。どちらも歌劇場でみたことがなく、素晴らしい全曲録音を持っているが、オペラ対訳プロジェクトでは未翻訳のため、なかなか聴く気になれない。最近、ふとYouTubeにアップロードされているオペラの全曲録画を利用してみたら、と考えた。

 

まず、YouTubeを見ながら、音を今使っているスピーカーで再生することから始めた。動画はMacBook Air あるいは iPad Air 、音声再生にはYoshii9 TuneUp(「時空間再現装置」参照)を使う。Macの音声データの伝送にbluetoothを用いることにして、新たにBluetoothレシーバー(Aukey BR-C1)を購入した。

次にYouTubeとBluetoothで音声データがどのように処理されているのか、すなわち使われている音声データの処理方法について調べた。現在デジタル音源のほとんどはPCM(Pulse Code Modulation)方式でデジタル化されている。PCM方式でサンプリングされたデジタル音源の主要なフォーマットには次のようなものがある。

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WAV、FLAC、ALACは非圧縮あるいは可逆圧縮なので音声データの損失がない。SBC,AAC,aptX、LDACは非可逆圧縮なので音声データの損失があるが、この順番で音質がよくなっていく、と言われている。

YouTube では、個人ユーザーと企業ユーザーとは別扱いだということがわかった。一般ユーザーにはAACでのアップロードを推奨しているが、企業ユーザーにはPCM(正確にはPCM 44.1kHz/24bit)の使用を推奨している。つまり個人は圧縮音源を、企業は非圧縮音源を使え、というわけだ。PCM音源はYouTubeの方で新しい圧縮音源フォーマットであるOpusに変換される。カバーされる周波数帯域はOpusのほうがだいぶ良い(音質は自分で比較していないのでわからない)。

Bluetooth は非可逆圧縮フォーマットを用いるが、製品によって使っているフォーマットが異なる。BR-C1はSBC, AACに対応しているので、今回のケースではAACでデータ伝送されることになる。

まず普段自分が聴いている音楽をBluetoothを通すとどうなるか調べてみた。普段の再生方法は、

ipod touch(ALAC)→ Dock内DAコンバータでアナログ化 → Yoshii9 TuneUp

Bluetooth を使用する場合は、

ipod touch内部でALACからAACに変換 → BR-C1内DAコンバータでアナログ化 → Yoshii9 TuneUp

 となる。音声フォーマットだけではなくDAコンバータも異なる。まずグールド演奏のブラームス間奏曲集を試したが、艶めかしい音で非常によく、全曲聴いてしまった。好調かな、と思って、次にマーラーの第8番を試したが、パサパサな音で、3秒も立たないうちにやめてしまった。ピアノは録音再生での品質劣化が最も少ない楽器なので、よくわからなかったのだと思う。結局bluetoothによる伝送は日常的には使えない、と判断した。

そうすると、音の方は従来どおりipod touchから直接 Yoshii 9 TuneUp に出力し、YouTubeの動画を無音でMacで再生することになる。そのため音と動画のずれを修正しながら見聴きしなければならない。「ナクソス島のアリアドネ」で試してみた。動画は次のベーム指揮1965年ザルツブルグ音楽祭のもの。一度Bluetoothを通してYouTubeの音をYoshii9 TuneUpで再生して全曲を視聴した。悪くない、というか、よかった。


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次に音の方を同じベームの1976年ウィーン・ライブにかえて視聴した。結構混乱したが、できないことはない、という感じだった。ただ、この2回で内容が頭に入ってしまったので、以降動画は不要になった。

YouTube動画と別の音源を合わせる方法は、煩雑な操作が必要なので、日常的な視聴には向かないが、オペラの学習には使える。オペラ全曲の動画は多くアップロードされており、著作権の問題は不安ではあるが、他のオペラでも試してみようと思う。なお、上のザルツブルグ・ライブはナクソスアメリカが提供しているので、著作権の問題はないはずである。

 

「ナクソス島のアリアドネ」の音源としては、カラヤン指揮フイルハーもニア管弦楽団(1955年)のものも所有している。久しぶりに聴いたが、3つの中ではこれが一番良い。とくにシュワルツコップのアリアドネは圧倒的だ。

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