精密医療電脳書

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肺癌の精密医療 2022:遺伝子情報による治療薬選択

精密医療は狭義では、遺伝子情報によって治療薬を選択する新しい医療コンセプトだが、進行性非小細胞肺癌の薬物療法が典型例である。電脳書では以前2020年9月時点での遺伝子検査による治療法選択のアルゴリズムを掲載した(薬物療法のアルゴリズム:肺癌)。この時点で6個の遺伝子の異常に対する薬剤がそれぞれ開発されていて、1個(RET)のみ米国承認、国内承認待ちであった。1年半経ったが、アルゴリズムはあまり変化はなく、進んだ点は、1)RET阻害剤セルペルカチニブとそのコンパニオン診断薬が国内承認、2)KRAS阻害剤ソトラシブが二次治療について国内承認、コンパニオン診断薬が審査中、の2点である。図1にアルゴリズムを簡略に示した。

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図1.進行性非小細胞肺癌の精密医療(2022年4月)。

 

現在6遺伝子でソトラシブが間もなく保険収載されると思われるので7遺伝子になる。大阪国際がんセンターでの非小細胞肺癌患者の遺伝子異常の頻度を図2に示した。

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図2.非小細胞肺癌遺伝子異常の頻度。大阪国際がんセンター外科1000症例を肺がんコンパクトパネルで調べた結果である。

 

EGFRが圧倒的に多いが、METエクソン14スキッピングやKRASも比較的多い。そのため単一遺伝子検査を繰り返すよりも、多遺伝子を一度で調べる遺伝子検査パネルを行うべき、という意見が優勢になっている。ただし事実上唯一の多遺伝子検査法であるオンコマイン Dx Target Test マルチ CDx システムは腫瘍細胞含有率の高い病理検体でないと検査ができないなど困難な点も多く、コバスEGFR変異検出キットも依然多く使われている。

 

図3に現時点で国内承認されている各遺伝子異常のコンパニオン診断薬と治療薬をまとめた。コンパニオン診断薬は、すべての薬剤に対応していないケースがある点注意が必要である。

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図3.国内承認されているコンパニオン診断と治療薬。