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イスラエルは何故ハマスの攻撃を察知できなかったのか

10月7日にハマスがイスラエルに対しテロ攻撃を行ったが、当初このテロを察知できなかったイスラエルに対して疑問を持つ人が多かった。イスラエルの諜報部門は群を抜いて優秀なため、ハマスの動きを見落とすことはない、故意に見逃したのではないか、という意見だ。例えば、事件直後25年前にイスラエル軍の諜報部門で働いていた女性は、パレスチナとの境界での動きを見逃すことはありえない、と発言していた(https://twitter.com/MaajidNawaz/status/1710815659653804437)。つまり暗にイスラエルがわかっていて故意に見逃した、という見方をしている。これに対し、ある退役米軍大佐はCNNのインタビューで、ハマスはネット環境や電話を全く使わずに対面でコミュニケーションを行っていたため、イスラエルの情報網を回避できた、と答えていた(Retired colonel explains how Hamas caught Israel off-guard during attack)。他には末端からハマスの情報も上がってきていたが、日常的に上がってくる情報が多すぎるので上層部は重要視しなかったのではないか、という見方もある(妙佛 DEEP MAX)。テロ攻撃から2週間程経過したが、現状イスラエルの立場は非常に厳しいので、イスラエル当局がわざとハマスに攻撃させた、ということはまずありえず、やはり見逃していた、と言わざるを得ない。

 

ハマスとイスラエルの関係について最も重要な事実は日本のメディアで全くと言っていいほど報道されていない。もともとイスラエル政府は、アラファト議長率いるPLOに対抗させるため、創設初期からハマスを支援していた(ウィキペディア)。この関係は今回のテロ攻撃直前まで続いた、と考えられる。例えば、以下の田母神俊雄氏の証言。

「10年ほど前イスラエルを訪問した時、ベンシトリット外務次官が言っていた。攻撃はいつもアラブ側から始まる、これはイスラエルに対する攻撃要請の合図なのだという。イスラエルの空爆でアラブ側に大被害が発生し世界から支援金が集まる。これを一部のアラブの有力者が使い道を決めるのだと言う。欧米諸国の建設会社も復旧事業には参画できるそうだ」(https://twitter.com/toshio_tamogami/status/1711158783328895332)。

 

すなわち、今回のテロ攻撃以前のハマスのイスラエル攻撃はマッチポンプなのだ。イスラエルとパレスチナの死者数と障害者数を見れば一目瞭然だ。

2008年から2020年の間の死者数はパレスチナ側が5590人なのに対しイスラエル側は251人で、イスラエル側にはほとんど被害がない。またサウジアラビアの王子の一人は、最近の動画でイスラエルがカタールを通じてハマスを支援しないように訴えている(https://twitter.com/ShortShort_News/status/1715249642898919506)。

 

メディアでは、ハマスを支援しているのはイランである、と報道されているが、元米軍のドナルド・マックグレガー大佐(Donald Macgregor)は、それは間違いで、ハマスの背後にいるのはカタールとトルコだ、と言っている(Col. Douglas Macgregor: Can the US support two wars?)。実際ハマスの最高指導者はドーハの高級ホテルにいる(カタール、人質解放を仲介 米はハマス関係見直し要求)。米国とカタールの関係は緊密で合同軍事演習を行っているくらいだ(ウィキペディア)。2017年には米軍とパラシュート部隊との合同軍事演習を行っており、今回のハマスのテロ攻撃にはパラグライダーが使用されたことをあわせ考えると、ハマスの軍事技術がどのあたりから来ているかは容易に察しがつく:ハマスの軍事技術は米国やトルコ由来なのだろう。

 

それでは最初の疑問、10月7日のテロ攻撃を何故イスラエル側は見落としたか、についてだが。従来のハマスの攻撃はマッチポンプで、イスラエル側には深刻のダメージがなく、色々な事前情報があったものの、攻撃の規模については高をくくっていた、と思われる。ところがハマスが本気で攻撃してきたので大変なことになった、ということだろう。

 

このようなマッチポンプは米国の常套手段なので、日本でも知っている人は知っている。主流メディアでは全く報道されないので、ハマスの件は日本で知っている人はごく少数だろう。しかしさすがにイスラエル国民には知れ渡っているようだ。上記の内容はTimes of Israel(政治的には中道のイスラエルの一般紙)の次の記事で詳しく説明されている。

www.timesofisrael.com