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将棋AI 〜 続き

羽生善治九段と成田悠輔准教授のAIに関する対談があり、大変面白かった。前編と後編があるが、AIに対する話は前編に集中しています。

 


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chatGPTによって、はじめてAIが一般社会に大きな影響を与え始めたが、将棋界はそれよりもずっと早い時期から、AIと人との関わり合いが始まっていました。

日立製作所が1967年に詰将棋を解くコンピューターを作り、早稲田大学が1975年に将棋を指すコンピューターを作りました¹。それからコンピューターがどんどん強くなって、1990年代にはプロ棋士と対戦できるようになりました。

2013年には、コンピューター(AI)と対戦する「電王戦」でプロ棋士が初めて負けました。将棋ファンはびっくりしました。2017年には、タイトルを持っているプロ棋士がAIに負けました。電王戦は2012年から始まりましたが、人間の棋士は「5勝14敗1引き分け」とほとんど勝てませんでした。

羽生善治九段は、将棋AIはすごく進化していて、新しいAIは1年前のAIにほとんど負けないと言っています。人間はAIに勝てなくなってからもう長いですが、AIは人間が理解できないほど強くなっています。将棋AIの最新技術は、ディープラーニングという技術を使ったAIです。例えば、「ポン・ツー・ポン」というAIはディープラーニングを使っていて、2019年にプロ棋士に勝ちました。また、2021年には、「Alphaシリーズ」という有名なAIの最新版「MuZero(ミューゼロ)」というAIの論文が出ました。プロ将棋は本来人間同士でやるものですから、AIとやるのはルール違反です。今は元に戻って、AIは勉強道具になりました。将棋ソフトでAIと練習するのが普通です。藤井聡太七段は、すごい手を打ちますが、それはAIから学んだものだと言われています。

将棋AIは、将棋だけしかできないので、社会のルールに関係なく強くなれます。ゲーム以外では、どこでAIはどこまでも強くなれるでしょうか。成田准教授によると、科学研究は得意です。例えば、薬を作ることはAIに任せられるかもしれません。すでにそんなAIが作られています。苦手なことは株価予測です。AIが答えを出すと、人がその答えに従って行動を変えます。しかし、これは人の行動が不確かだからではありません。人の行動に影響する要素が全部わかっていないからです。薬や他の科学技術では、必要な情報がわかっているので、AIを教えやすいです。でも株価予測では、人間の行動に影響する要素が全部わかっていないので、難しいです。人が関係すること自体が問題ではありません。株取引をする人間に影響する要素が全部わかれば、株価予測もAIでできるかもしれません。でもバタフライエフェクトという現象があって、根本的に無理なのかもしれません。