精密医療電脳書

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2020年から2050 年までのがんの経済的コストの予測

がんによる死亡は人口を減少させ、労働年齢の人口を減らす。罹患すると生産性は低下、欠勤が増加する。がん患者がいる世帯は、貯蓄の一部を自己負担の治療費に充てることになる。がん治療費の保険負担分は、国によって健康保険の制度は異なるが、一般的に民間健康保険料と公的健康保険税の増加につながり、それは国全体の総貯蓄と投資の減少に繋がる。このようにがんは国家さらには世界に経済的負担をもたらしているが、その規模はどの程度のものであろうか。Chenらは最近の論文で一般に公開されているデータから 労働力と投資に関連する健康上の結果を評価する際に経済的フィードバックを組み込む決定分析モデルを使用して2020年から2050年までのがんの経済コストを予測した。

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この分析では世界全体のがんのマクロ経済的コストは 25.2兆ドルになると推定される。これは、世界の年間税の0.55%、 1 人あたりの負担額は2857ドルになる。

 

国家全体の経済的コスト比較

中国は6.1兆ドルで癌の最大の経済的コストに直面しており、米国 ($5.3兆ドル) とインド (1.4兆ドル) が続いている。日本は1.0兆ドルである。GDPのシェアでみると ブルガリアが1.42%で最も高い経済的コストを負担しており、モナコ (1.33%) とモンテネグロ (1.09%)と続く。日本0.75%, 中国は0.62%、ドイツ1.01%、米国0.90%でだいたいの国は0.5%から1%のレンジで収まっている。

 

一人あたりの経済的コスト比較
一人当たりの経済コストは、モナコが 85,230ドルで最も高く、アイルランド (54,009 ドル) とバミューダ (20,732 ドル) が続く。日本12,092ドル、中国6,351ドル、ブルガリア19,067ドル、ドイツ21,985ドル、米国21,787ドル、イタリア7,649ドル、フランス10,515ドルで、国によってかなり差がある。

 

臓器別の経済的コスト

肺がんが3.9 兆ドルで経済的コストが最大であり、結腸および直腸がん (2.8 兆ドル)、乳がん (2.0兆ドル)、肝臓がん (1.7兆ドル) 、白血病(1.6兆ドル)と続く。がんの種類全体では、肺がん (15.4%)、結腸がんおよび直腸がん (10.9%)、乳がん (7.7%)、肝臓がん (6.5%)、白血病 (6.3%) ががんの世界的な経済的コストの半分を占めている。