自分に褒美、ということなら、特別な出費が必要な買い物、食事、旅行といったところではないだろうか。ただし自身は高価な出費は、よく考えた後決心するので、褒美という感覚で行うことはあまりない。しかし全くないか、というとそうでもない。以前の記事にも書いたが、私は音楽を聴くために特殊な再生装置を使っている。これはタイムドメイン社のYoshii 9だが、少し高価なので、ちょっと購入の決心がつかなかった。そこで、研究が完成したら自分への褒美として購入しよう、と決めた。ところが、いつまで立っても研究は完成しない。そこで、いずれ購入するならば、早く手に入れるべきだ、同じ時間を音楽で消費するのであれば、良い再生装置で聴くほうが良い、という勝手な理屈をつけて購入してしまった。自分で決めたゴールポストは簡単にかえられるので、「自分への褒美」を実行するのは難しい。
現在は、完成させるべき研究はあるが、特別な出費を必要とする欲しいものはない状態である。無理やり考えてみると、欧州旅行だろうか。英国留学から帰国する直前に欧州各地を回ってきたが、残したところがいくつかあって、一つは東欧。ベルリンの壁崩壊直後であったため、経済状態が改善してから行こう、と考えていた。ほかにはスイスのマッターホルン領域、ミラノスカラ座。この中ではスカラ座が第一選択だろうか。自宅でYoshii 9で聴いていてもスカラ座オーケストラの音色はかなり特徴があり、機会があれば一度行ってみたい、と考えている。
英国留学中欧州各地のコンサートホールと歌劇場で音楽を聴いたが、おしなべてオペラハウスのほうがコンサートホールよりも音響効果がよい。研究室にいた建築家の息子(アイルランド人)に訊ねてみたところ、”オペラハウスのほうが、音響効果がよいのは建築界の常識”、という答えだった。さらに、”コンサートホールの音響効果など設計したときにはわからないよ”、という答えだった。カラヤンは、音楽は再生装置で十分良いものが聴ける(実演と録音に差がないカラヤンらしい言葉)、コンサートホールでは音楽だけではなく聴衆との直接コミュニケーションが大事だ、とか云っていたと記憶しているが、ベルリンのフィルハーモニーはその考えが強く反映しているようだ。音響効果はあまり良さそうではない(内部にいろいろな構造物を追加していることから、もとのホールの音響効果は良くないことが推察される)が、オーケストラを聴衆が取り囲む構造になっており、オーケストラと聴衆との一体感といった点では通常のホールよりも優れている。なお、フィルハーモニーは未聴。
音楽に関しては一応Yoshii 9で間に合っているが、強いて実演とすると、スカラ座のオペラを聴いてみたい。