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いろいろな国がドル基軸通貨を避けたい理由:ヘッジファンドによる国家通貨への攻撃を防ぎたい


ドル基軸通貨体制を避けたい国が多い理由として、ヘッジファンドによる国家通貨への攻撃がある。最初に妙佛 DEEP MAXが指摘、それを補足する説明がモハPチャンネルであった。

妙佛 DEEP MAX

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モハPチャンネル

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ヘッジファンドが国家通貨を標的にした代表的な例は1992年のポンド危機だ。

1992年、イギリスの政府は、欧州通貨システム(EMS)に参加していた。このシステムは、各国の通貨を相対的に固定し、為替レートの変動を抑制することを目的としていた。しかし、イギリスの経済が不振に陥り、為替レートが下落したため、イギリス政府はポンドの相対的な価値を下げることを決定した。この決定により、ポンドの価値は急落した。

この時、ジョージ・ソロスが、ポンドの価値が下がることを予想し、大量にポンドを売却した。その結果、ポンドの価値はさらに下落し、イギリス政府はポンドを守るために大量の外貨準備を売却することを余儀なくされた。しかし、ソロスのヘッジファンド、クォンタムファンドはさらにポンドを売却し続けたため、イギリス政府は外貨準備を使い果たし、ポンドの価値は暴落した。この事件はイギリス経済に大きな打撃を与え、「ブラック・ウェンズデー」と呼ばれている。

その他の例としては、1997年タイの通貨バーツが大幅に下落し、アジア通貨危機が引き起こされた。この事件では、ヘッジファンドが、タイの通貨を売却し、その後他のアジア通貨も売却したため、アジア全体の通貨価値が下落した。

また、2015年には、スイスの中央銀行がスイスフランの相対的な価値を下げることを決定したため、スイスフランが急落した。このとき、ヘッジファンドの一つである「Winton Capital Management」が、スイスフランを売却したため、スイスフランの価値はさらに急落した。

現在ドルが基軸通貨なので、それぞれの国家通貨は対ドルで価値が決まる。そのため大量のドルを所有する個人投資家の餌食になりうるわけだ。これを回避するためにドル覇権から離脱したい国家が結構多い、と妙佛 DEEP MAXは説明する。

ドル基軸通貨体制に対する危機感が日本にないのは、日本にはそのような経験がないためで、どちらかといえば日本が例外だ、という。日本の円もヘッジファンドのターゲットになったことは、かつてあったが、このときは日銀が撃退し、ヘッジファンドのほうが大きな損失を出している。

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モハPチャンネルでは、さらにこのようなヘッジファンドの動きが、米国政府などの政権転覆工作との連動を各国政府が恐れている、と説明している。すなわち1994年のウクライナのマイダン革命やアラブの春のような例だ。ただし、ネットで調べた限りでは、米国政府等の介入とヘッジファンドの介入が連動した事例はない。ネット上には公開されていない事例があるかもしれないが。アジア通貨危機の急激な通貨下落下落は、東アジア、東南アジアの各国経済及び政治に大きな悪影響を及ぼしているが、このときに先進国(米国)の政治介入があったのかもしれない。