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ロシア・ウクライナ侵攻の目的:生物兵器と国際金融経済システムの破壊

ロシアのウクライナ侵攻の目的だが、NATO加盟問題やウクライナの通常兵力などは緊急に対処する必要がある問題とは思えない。凶悪な生物兵器など、現時点では明らかになっていない別の問題があったのではないか。侵攻とG7のロシア外貨準備凍結により、現在の国際金融経済システムは毀損してしまった。これをロシアは意図的に狙っていた可能性がある。

 

ロシア軍のウクライナ侵攻については多量の情報、偽情報が氾濫しており、また識者の説明も整合性が取れていない事が多い。確実に私達の未来に影響を及ぼす大事件であり、他者の意見の信頼性がなければ、それぞれの個人が真剣に考えなければならない。私は、まず侵攻の目的、ロシア(プーチン)がどのような目的でウクライナ侵攻をおこなったのか、について考えた。ウクライナ侵攻は「侵攻」であって、ロシアとウクライナの間の利害関係で戦争になっているようには見えない。ロシアの攻撃対象はウクライナではなく、ウクライナに浸透している外国勢力と考えたほうが整合性が取れた説明ができる。ただしこれらの勢力とウクライナと分離することができないので、ウクライナを攻撃することになる。

ロシアが提示している停戦の条件は、1)ウクライナの中立化・非武装化、2)非ナチ化、3)ドネスク・ルガンスク共和国承認、4)クリミア半島併合の承認、である。まず、侵攻の直接的目標、すなわち戦術的目標について考える。

 

 

戦術的目標

 

軍事的脅威の除去

 

これまでの経緯

ソ連崩壊後、東西ドイツの合併に際し、ブッシュ・シニア大統領とゴルバチョフの間で、NATOの東方拡大をしない代わりに、東西ドイツの合併を認める、という約束が執り行われた、と言われている。ただし、口頭の約束で文書が取り交わされていないため、真偽の程には疑問が残る。現実では、この約束とは異なり、東欧の諸国、バルト三国が次々にNATOに加盟することになった。プーチンはこのような状況を不快に思い、ウクライナとジョージアはレッドラインで、これらの国はNATOの加盟を西側に許可しないように警告していたが、2008年4月にブッシュ・ジュニア大統領主導でNATOは、これらの二国も他の加盟国の同意があればNATOへの加盟が可能、という見解を示した。8月にロシアはグルジア(現ジョージア)へ侵攻し、その南オセチアを占領した(占領は現在も続いており、ロシアは南オセチアを国家承認している)。

2014年に親ロシア派のヤヌコヴィッチ大統領に対して大規模な反政府デモが発生、その結果ヤヌコヴィッチ大統領は亡命、親欧米派のポロシェンコが大統領に就任した。このクーデターについては、米国のネオコンとジョージ・ソロスが積極的に関与している。当時国務次官補であったビクトリア・ヌーランドが新政府の主要人事を行ったことが明らかになっている。クーデター直後にロシアは大きく反発し、クリミア半島に侵攻して併合してしまった。ロシアからすると、ウクライナ政府は米国の傀儡で、米国及びNATOの対ロシア前線にみえる。1960年代米国で、キューバにソ連の核ミサイルが設置されそうになった状況と似ている。

親欧米派政権のもとでNATO及び米軍による国家警備隊とウクライナ軍の指導が行われ、軍の装備・能力ともに強化された。ウクライナの非武装化が停戦条件であるため、これらの軍事施設の除去は戦術目標の一部であろう。ただ通常戦力は、今回のような大規模な軍事作戦が必要な差し迫った脅威とは思えない。だが生物兵器や核兵器があれば、緊急に除去する必要があるだろう。

 

生物兵器

ウクライナには旧ソ連時代からのバイオラボが多数あり、2014年の政変以降、多額の研究費が米国から入るようになり、生物兵器開発を含む様々な研究が行われるようになった。これらのバイオラボが凶悪な病原体の開発に成功していて、そのことをロシアが察知すれば、緊急の大規模軍事作戦の動機に十分なりうる。サイモン・パークスは高品質のインテリジェンス情報を伝えているが、彼は、侵攻の目的の半分はバイオラボの破壊で残りの半分がNATO非加盟だろう、と云っている(Ukraine Crisis - Gold Set To Soar? Goldbusters - 25th Feb 2022)。

核兵器

ウクライナには大量の核物質があり、またキエフーモスクワ間は800kmもない。核兵器があれば、ロシアにとっては大きな脅威になる。また、核爆弾ではなくても放射性物質をばらまく「汚い爆弾 dirty bomb」であっても十分な脅威である。

 

ウクライナ領土占拠

 

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3月3日時点でのロシア軍の支配領域。3月25日にはマウリポリが陥落して黒海沿岸地区はロシア軍の支配下に入っている。
東部地区

2014年の政変後成立した新米政権とウクライナ東部地区(ドンパス地域、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国と自称している)の親ロシアの人々の間に対立があり、激しい紛争になった。最終的にドイツとフランスが仲介する形で、東部地区の自治権を認める形で合意(ミンスク合意)に至ったが、ウクライナ政府は合意を守らず東部地区の人々への侵害は続いた。この状況に対応するためロシアは2021年10月に国境に軍隊を派遣、2022年2月21日にプーチン大統領はドンバス地域の独立を承認し、翌22日の会見で、ミンスク合意は長期間履行されずもはや合意そのものが存在していない、として破棄された。そして2月24日に侵攻した。

ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の承認は停戦条件の一つであり、侵攻の目的のひとつは明らかにこの地域を実効支配することである。

 

クリミア半島・黒海沿岸

クリミア半島のセバストポリは黒海艦隊の基地であり、ロシアにとっては重要な軍事拠点である。クリミア半島に至る黒海沿岸は地続きの輸送経路になるため、クリミア半島とクリミア半島に至る黒海沿岸地区の実効支配は、停戦交渉に際し重要だ。

 

戦略的目標

 

ウクライナ侵攻の戦略的目標は、もちろんウクライナをNATOに加盟させないことだが、多分もっと大きく国際的な経済システムの変革を狙っているようだ。

 

NATO非加盟

「これまでの経緯」で説明したように、ウクライナとジョージアはロシアのレッドラインで、この2国のNATO加盟はロシアは安全保障上絶対認めない。これは戦略的目標の達成により、自動的に達成できる。

 

国際金融経済システムの破壊

 

グローバル経済の破壊

グローバリズム、現在のグローバル経済の大前提は、世界が平和で物流、人流、貿易に障害がないことだ。この前提が2月24日の侵攻開始で、木っ端微塵に吹き飛んでしまった。日本では三橋貴明氏がいち早く発言していたが、ブラックロックCEOが出資者に向けたレターで指摘している。

www.nikkei.com

 

ドル基軸通貨制の崩壊

バイデン大統領はFRBにあるロシアのドル資産を経済制裁として凍結してしまった。これは完全な債務不履行であり、基軸通貨であるドルの信頼性を著しく傷つける。この経済制裁でドルは経済活動とは別の理由で使えなくなるので、安全な通貨ではなくなり、実物資産や他の通貨へ移動が促される。すなわち基軸通貨としての信頼性が損なわれた、ということだ。

このことは、クレディ・スイス(Credit Suisse)の金利ストラテジスト、ゾルタン・ポズサー(Zoltan Pozsar)氏がいち早く指摘した。すなわちオイルマネーと国債の再循環を基盤とした、1971年以降のドルを法定基軸通貨とするブレトン・ウッズ2の終焉を宣言。「G7がロシアの外貨準備を凍結した時に、その基盤は崩壊した」と説明した。

news.yahoo.co.jp

ロシアは天然ガスなどの資源外交を通じて長らくドル基軸通貨制に挑戦してきており(「コールダー・ウォー: ドル覇権を崩壊させるプーチンの資源戦争」、草思社)、今回の侵攻は、その最終段階として意図されたものかもしれない。