精密医療電脳書

分子標的薬 コンパニオン診断 肺がん ウイルス 人類観察

米国臨床腫瘍学会誌の医療費用対効果に関する論説

Journal of Clinical Oncology(JCO)は米国臨床腫瘍学会American society of Clinical Oncology(ASCO)の学会誌で代表的な臨床腫瘍学の雑誌である。最近医療経済に関する興味深い記事が掲載されていた。 Ramsey, S.D., Friedberg, J.W., Cox< J.V., and Pe…

日銀の金融緩和継続は現行の金融システム防衛のため

米国とEUは、インフレ抑制のため利上げと金融引締を行っているが、日本はどちらも行わず金融緩和を続けている。日本のインフレは軽度だから金融政策に変更はないのか、とぼんやり考えていたが、積極的な理由がある、という論説をみつけた。

新型コロナウイルスに関するメモ(4)~ 超過死亡のシミュレーション分析、ワクチン後心筋炎からのスパイク蛋白検出

最初に前の記事コロナメモ(3)の続き。 超過死亡に関するシミュレーション分析がアゴラに掲載されていた。 agora-web.jp シミュレーションは現実世界の出来事をいくつかのパラメータで簡略化して示すものであり、一つの仮説を提示したものにすぎないが、こ…

新型コロナウイルスに関するメモ(3)~ オミクロン株出現で潮目がかわった

今日のツイッター・トレンドに「超過死亡」、「ワクチンのせい」、「人口削減」が上がっており、世の中の新型コロナウイルス及びワクチンに対する姿勢はおおよそ固まってきたように思う。オミクロン株の出現がターニングポイントで、それ以前は直接の知人が…

新型コロナウイルスのワクチン効果を水増しするトリック

接種後2週間以内の接種者を未接種者として分類すると、見かけ上の有効率は上昇する。

超過死亡とワクチン死亡報告

いまのところワクチンと超過死亡に関しては、はっきりしたことはわからない。厚生労働省のデータでは、ワクチンによる死亡報告は1000万人あたり70件である。

Stable Diffusionで遊ぶ 〜 日本の寺院を襲う龍

自動画像生成AIについて興味深い記事がMITテクノロジーレビューに掲載されていた。 www.technologyreview.jp この記事の本題は、自動画像生成AIで模倣される作家の著作権の問題だが、面白いのはStable Diffusionで指定される画家には歴史上の画家は少なく、…

欲望の資本主義2022夏 特別編 「メタバースの衝撃 デジタル経済のパラドックス」

Virtual reality by Diego Velázquez (created with Stable Diffusion) 欲望の資本主義2022夏 特別編 「メタバースの衝撃 デジタル経済のパラドックス」が秋分の日に地上波で再放送されていた。地上波はBSと異なり1週間ほど配信されるので便利である。この…

自傷的経済抑制の説明:金融経済崩壊のカモフラージュ

World Map by Pablo Picasso (created with Stable Diffusion) 以前の記事で西欧や中国の経済抑制政策は避けることは可能なはずなのに故意に行っているように見える、と書いた(世界的な自傷的経済抑制:G7のロシア外貨準備凍結、EUロシア産石油禁輸、上海ロ…

Stable Diffusionで遊ぶ 〜 歴史上の画家が描く宇宙船

今話題のStable Diffusionはオープンソースの画像生成AIで、英語のテキストを入力すると自動的に画像を出力する。このソフトウェアを使って、歴史上の画家に宇宙船Spaceshipを描いてもらった。 ベラスケス まず「画家の王」と呼ばれたベラスケス。特に右の作…

輪るピングドラム:混乱した現実社会のミニアチュア

Penguindrum by Salvador Dali (Stable Diffusion) 「輪るピングドラム」は2011年のTVアニメーションで、幾原邦彦の監督・脚本作品だ。独創的な作風のアニメーションで、他のクリエーターに大きな影響を与えたという。しかしストーリーが難解で、熱狂的…

2020年米国大統領選挙:ミシガン州のデータ操作

2020年米国大統領選挙からもうすぐ2年になる。中間選挙を控えて、トランプ元大統領について報道されるようになってきた。主流メディアの報道姿勢は当時と較べるとかなり穏健だ。当時は反トランプキャンペーンが張られ、選挙不正はすべてフェイクニュー…

BRICSの台頭とドル基軸通貨制の崩壊

ロシアのウクライナ侵攻とその後の経済制裁によって通貨制度が大きく変わる可能性が高まり、業界でも指摘する人が現れた。このことは以前の記事で紹介した。 precision-medicine.jp ウクライナ侵攻に対する米国の経済制裁では、ロシアがFRBに預けているドル…

医師主導型固形癌第 I 相試験の奏効率は20年で約2倍になっている

米国国立がん研究所(NCI)は、自身の治験支援プログラムであるCancer Therapy Evaluation Program、CTEPで2000年から2019年に行われた固形癌の第I相臨床試験の患者データを分析し経時的変化を明らかにした。 まず、重要な点はこれは公的機関が支援…

リキッドバイオプシーによる残存腫瘍病変の検出:臨床上のメリットの検証

血中腫瘍DNAを使って術後の腫瘍残存病変を検出できる。新しいDYNAMIC trialはステージII大腸癌に応用して、術後化学療法の実施数を減らすことが可能であることを示した。

新型コロナウイルスまとめメモ(その2) 〜 特にオミクロン株の起源

現時点(2022年8月)での個人的な見解をまとめた。 日本の現状 8月下旬現在でも感染状況は、世界的に見ても最悪だ。 www3.nhk.or.jp この半年のワクチン接種率は日本が68.9%と他の国と比較して圧倒的に多い。特にイスラエルなど1.95%に過ぎ…

中国所感:勝海舟と妙佛 DEEP MAXで中国を理解する

最近遺伝子診断事業を一緒に立ち上げている会社の会長さんと話をする機会があり、中国の現状について訊いてみた。ひどいということで、品質管理も十分行われていない、という状況らしい。昨年の夏頃、中国が他の国よりいち早く経済回復したときには、生産が…

ファイナルファンタジーX:SFの衣を纏わない仮想世界の物語

今週のお題「SFといえば」 この1ヶ月の間ゼルダの伝説に引き続きファイナルファンタジーXに熱中していた。最強の裏ボスを倒してしまったので、流石に飽きてきてしまった。それでは医学研究でもするか、というところだ。 ファイナルファンタジーシリーズの多…

ビジネス面からみた遺伝子検査パネル:高感度パネルが開発されない理由

現行の遺伝子検査パネルは製薬企業を顧客としたFDA承認獲得のためのシステムであり、医師や患者を向いたシステムではない。治験であつめた研究用試料での有用性は保証しているが、実地臨床での有用性は必ずしも目指していない。

投資ビジネスとしてのリキッドバイオプシー

リキッドバイオプシーは、現在腫瘍組織で行っている遺伝子検査を血液で行う新しい遺伝子検査のパラダイムで(リキッドバイオプシー 〜 がん患者にやさしい新しい検査法 - 精密医療電脳書)、現在がん研究の最先端分野の一つである。私達もリキッドバイオプシ…

第116回日本肺癌学会関西支部学術集会

上記集会が6月25日に行われたので、精密医療関係のセッションを聴きに行った。内容は遺伝子検査パネルとRETなどの希少ドライバー変異の症例報告だった。 遺伝子検査パネルは最初の演題が私達の肺がんコンパクトパネルで、共同研究者の東山聖彦先生の発表…

アイスティーのつくりかた

ルピシアの香り付き烏龍茶(白桃烏龍)を頂いたところ、大変美味しかった。同社は紅茶、烏龍茶、緑茶を使った香り付き茶(ルピシアではフレーバードティー)を多種類販売しているが、これまで飲んだフレーバードティーはいづれも茶葉の風味とフレーバーが調…

肺がんコンパクトパネル 〜 発明者の意図

肺がんコンパクトパネルの細胞診検体応用が注目されているが、FFPE検体についても技術的な工夫が施されている。

自傷的経済抑制の他の説明

以前の記事で中国、EU、米国では自ら自身の経済活動を抑制する政策を行っていることを述べた(世界的な自傷的経済抑制:G7のロシア外貨準備凍結、EUロシア産石油禁輸、上海ロックダウン - 精密医療電脳書)。奇妙な現象なので不思議に思っている人は多いだろ…

ASCO2022概観

米国臨床腫瘍学会年会American Society of Clinical Oncology (ASCO) Annual Meeting は毎年6月初めにシカゴのマコーミック・プレース(MaCormik Place)で行われる癌に関する世界最大の学会だ。普通の学会は研究者の発表とコミュニケーションの場だが、臨…

ゼルダの伝説スカイウォードソード・ラネールの時空石:動的四次元パズル Dynamic Four-Dimensional Puzzle

ゼルダの伝説は不世出のゲームデザイナー宮本茂が創始した任天堂のビデオゲーム・シリーズだ。スーパーマリオ・シリーズと対をなしたシリーズで、宮本茂の説明では、両者ともアクションと謎解きの要素がある似たゲームだが、スーパーマリオはアクション中心…

日本と米国の通貨発行制度、内部貨幣と外部貨幣

経済に関しては、不可思議だ、と思えることが結構あり、そのような事柄は問題を引き起こすことが多い。一つの例は、サブプライムローンだ。証券会社の人々は、優れた金融工学をつかって不良債権を優良な債権と組み合わせて証券化しているので、不良債権のリ…

Trop-2を標的にした抗体薬物複合体 sacituzumab govitecan

Trop-2(別名Tumor-associated calcium signal transducer 2, TACSTD2)はEpCAMと類似した構造をとる膜タンパク質であるが、生体内での機能はよくわかっていない。高発現が複数の癌腫で予後不良と相関していることから、分子標的薬が開発されている。本稿で…

ブレトン・ウッズ3:パンデミック・ウクライナ侵攻後の経済 〜 現物資産に裏付けられた人民元が台頭する

新型コロナウイルスのパンデミックとウクライナ侵攻後の社会は、これまでとは違ったものになる、と多くの人が考えているが、はっきりした発言がなされることはあまりなかった。社会の様相に経済は大きく影響するが、3月6日にクレディ・スイスCredit Suisse…

エネルギー危機と食糧危機はコモディティの価値を上げる

ウクライナ侵攻後の欧州でのエネルギー危機は西側が故意に引き起こしたものであり、自傷的経済抑制というべきものだ、と以前の記事で述べた。食料に関しても、ウクライナ・ロシアは世界の穀倉地帯であり、世界的な食糧危機を引き起こす、と言われている(ウ…